シンボルツリーとして庭にスモークツリーを植えたのですが、なかなかお花が咲きません…スモークツリーのお花が咲かない原因やお花を咲かせる管理方法を教えて。 |
今回はこういったお声に参考になる記事を用意しました。
この記事では『スモークツリーのお花が咲かない原因』ということで、スモークツリーを育てる上でお花が咲かない原因やお花を咲かせる管理方法などスモークツリのお花を長く楽しむためのエピソードを解説していきます。
記事の内容を理解・実践してもらうと、スモークツリーのお花が咲かない原因が分かるようになり、大切なスモークツリーのお花を咲かせることが出来るようになり、ご家庭を明るく彩るのにきっと役立ちます。
私は園芸歴10年ほど。
これまで100種類ほど植物を育ててきました。
最初にいっておくと、スモークツリーのお花が咲かない原因のほとんどが剪定時期を間違えているからです。
基本的にスモークツリーの花芽は11月〜2月ごろ、前年に伸びた枝の先端に付きます。これを知らずに大きくなったスモークツリーを花芽がついた後に剪定しまう結果となり、お花が咲かなくなってしまうことになります。
せっかくの大切なスモークツリーのお花を長く楽しむために、お花が咲かない原因とお花を咲かせる正しい管理方法を覚えておきましょう。
「スモークツリーのお花が全く咲かない」「スモークツリーのお花を咲かせる方法がわからない」とお困りの方は最後まで記事を読んでみてください。
Contents
スモークツリーってどんな植物?
ふわふわとした綿毛のような質感が特徴的なスモークツリー。
一度見たら忘れられない個性的なフォルムをしたその植物は、別名「煙の木」と呼ばれているウルシ科ハグマノキ属の落葉樹です。
最近では庭木としても人気が高く、シンボルツリーとしてお家の庭などに植えられているのを見かけます。見頃の時期になるとモクモクと煙のような花で庭を優しい雰囲気にしてくれます。
強い生命力で長く楽しめる
その見た目の通り、和名を「煙の木」と言い、ふわふわとして煙を巻き上げているように見えることから、この名が付けられました。
この他にもハグマノキ(白熊の木)、カスミノキ(霞の木)という別名もありますが、ハグマ(白熊)の毛で作られる仏具に似ていることや、霞がかったように見えることなど、いずれも見た目に由来しています。
原産地はヨーロッパや中国などで、暑さにも寒さにも強く、放任してもよく育ちます。逆に生命力が強いために、枝葉を旺盛に伸ばして樹形を乱しやすいので、適した剪定をして風通しよく管理するひと手間が必要です。
お花や葉の色が多彩
スモークツリーはカラーリーフとしても活躍する人気の花木で、さまざまな葉色の品種が出回っています。
カラーリーフで有名な品種は、黄色みの強い明るい葉色の『ゴールデンレディ』、黒みを帯びたワインレッドの葉を持つ『ロイヤルパープル』や『ベルベットクローク』などがあります。
また、鮮やかな赤い花茎の『ワインカラー』、ピンクの『ピンクボール』、白の『ホワイトボール』、花茎がピンクからグリーンのグラデーションになる『グリーンボール』などもあります。
フワフワはお花じゃない
スモークツリーは5月中旬〜7月上旬頃に咲く初夏の花木(かぼく)ですが、どの部分がお花なのかをご存知でしょうか。丸いフワフワとした部分を花だと思っている方もいるかもしれませんが、この部分は花ではありません。
スモークツリーの本来の花は枝先につける3~5mm程度の小さな花です。
この花を咲かせた後、花がらという雌木の軸の部分が長く伸びて綿毛のような見た目になります。これは、種が遠くに飛ぶように進化したもので、花がらの先についた種を遠くに飛ばす役割を担っています。
そもそもスモークツリーはイチョウなどと同じく、雌雄異株(しゆういしゅ)という雌花と雄花を別の個体につける植物です。そのため、フワフワの花がらとなり種をつけるのは雌花のついている雌株だけになります。
スモークツリーのお花が咲かない原因
スモークツリーと言えばフワフワとしたお花が魅力です。ドライフラワーの材料としても人気があります。
しかし実際は『庭に植えてみたものの枝が伸びるばかりでお花が咲いてくれない』そんな話をよく耳にします。
本来は毎年お花を咲かせてくれるはずのスモークツリーですが、お花が咲かなくなる原因はいくつかありますので、代表的な3つの原因をお伝えします。
剪定時期を間違えた
スモークツリーは、地植えすると一年間で枝がかなり伸びます。 大体1mぐらい伸びることもあります。伸びた枝は暴れた枝になるので、落葉している冬の間に剪定をしたくなります。
しかし、この時期の剪定こそがお花が咲かなくなる原因になります。この剪定で、せっかく誕生した花芽を全て切り落としていたのです。
そして来年も、お花が咲かないからと放置し、冬になって枝を剪定してしまうと、次の年も花が咲かない負のスパイラルに陥ってしまいます。
このような結果を防ぐためにも、お花が咲いていない枝でも、最低でも8月までに剪定をしてください。
スモークツリーのお花は昨年から残っている古い枝で咲きます。新しく生えてきた枝からはお花が付かないので注意してください。切りすぎなければ翌年にまた花を咲かせてくれます。
関連記事→【解決】スモークツリーの剪定方法【綺麗な形を維持するための剪定時期と剪定位置を覚えよう!!】
根腐れしている
スモークツリーは乾燥気味を好む植物ですので、植えた場所の水はけが悪いと根腐れを起こす可能性があります。その場合は、水はけの良い用土に植え替えるなどの対策が必要になります。
過剰な水やりも原因の1つとなります。土の表面が乾燥してきたら、たっぷりと与えてあげてください。
スモークツリーは湿気には弱いので、やや乾燥しているぐらいがちょうどよい生育環境となります。
地植えの場合の水やりは株を植えた直後にたっぷり与える程度で、あとは放っておいても問題ありません。夏場の暑い時期に地面がひび割れてきた場合は、人工的に水やりを行う必要があります。
雌株ではなく雄株だった
スモークツリーは、雌雄異株(しゆういしゅ)という雌花と雄花を別の個体につける植物です。
雌株は大きくお花を咲かせますが、雄株はお花が小さく目立たない為、お花が咲かないと感じることが多いようです。
スモークツリーのフワフワは種ができなかった雌株の花がらのみ出てきます。そのためお花が咲かない(フワフワがない)と感じるのは雄株の可能性が高いと言えます。
スモークツリーのフワフワした部分は、「スモーク」の名前の由来にもなっている特徴的な物です。せっかくスモークツリーを買ったのにフワフワが無いのは、かなり残念な結果ですよね。
ただ、園芸用に市販されているのはほとんど雌株だと言われています。たまに雄株が混じっている可能性もありますので、購入の際は十分に注意するようにしましょう。
スモークツリーのお花を咲かせる方法
スモークツリーの葉が元気で枝もよく伸びているのにお花が咲かない場合は、栄養分をお花ではなく葉や茎に使っているから咲かないという場合があります。
スモークツリーのお花がなかなか咲かない時に、ぜひ試していただきたい作業をお伝えします。
根切りを行う
そもそも植物の生育段階には、大きく栄養生長と生殖生長の二つに分けられます。
栄養生長とは、植物が葉や茎などの栄養器官を増大させる生長のことで、それに対して生殖生長は花芽を形成して開花させ、種子を作るといった次世代を作る生長のことです。
一般的には生殖生長は栄養生長が十分に行われた植物で起こります。すなわち、葉や茎が十分に育ってから花芽を形成するということになります。
つまり、以前はスモークツリーのお花が咲いていたのに咲かなくなったという場合は、栄養生長していることが考えられます。
しかし、栄養生長をしている場合でもスモークツリーのお花を咲かせることが出来るのです。その方法が根切りと言われる作業になります。
根切りは、木の根元から15cmくらい離れたところに、先の尖ったスコップを斜めに差し込み、根を切断することが目的です。根切りはスモークツリーの生育期である5月〜6月ぐらいに行うのがおすすめです。
この根切りを行うと、スモークツリーは「これ以上、根を伸ばせない」と勘違いして、子孫を残そうとするため、花芽を形成しお花を咲かせようとします。
この性質を生かして、地植えから鉢植えに植え替えをしてお花を咲かせるという方法になります。
リン酸分が多い肥料を与える
スモークツリーのお花をたくさん咲かせるためには、肥料は不可欠です。
肥料をあげていない場合は、まずは規定量の肥料をあげるようにしましょう。肥料をあげているのに、なかなかお花が咲かない場合は、P(リン酸)の比率が高い「お花が咲く」と記載があるような肥料をあげるようにしましょう。
そもそも植物には生長に必要な3大栄養素というものがあります。
N(窒素)
窒素は葉の色を濃くしたり、枝・茎を太く丈夫にするなど、葉や枝・茎の生育を促すのが主な役割です。窒素が不足すると葉の色が薄くなり、枝・茎の生育不良に繋がります。ただし、窒素が多すぎるとかえって抵抗力が弱まり、病気になりやすくなるので注意が必要です。
P(リン酸)
リン酸は、実・花のつきを良くする働きを持っています。そのためリン酸が不足すると花つきや実なりが悪くなり、さらには根や葉、枝などの生育にも影響を与えます。実がなる植物を育てる際には特に必要となる栄養素です。
K(カリウム)
カリウムは根や茎を丈夫に生育するために必要な栄養素です。根・茎を丈夫にするだけでなく、乾害・寒害などから植物を守る耐病性を身につける働きもあります。不足すると根の生育が悪くなり、葉焼けのような枯れ方をすることがあります。
ただしP(リン酸)は、N(窒素)やK(カリウム)よりも吸収しづらい性質があります。満開の季節は、意識的にP(リン酸)の比率が高い肥料をあげるようにしましょう。
7月にマグアンプKのようにリン酸だけが突出した化成肥料を施肥すれば良いでしょう。再び3月下旬以降にマグアンプKを施肥することにより花芽が葉芽に変換することを防ぎ、開花期に花芽がしっかり咲くように成長を促しましょう。
関連記事→【重要】肥料の基本をマスターせよ【たくさんのお花を咲かせる肥料のポイント教えます】
まとめ:剪定と肥料でスモークツリーのお花を咲かせよう!!
というわけで、【解決】スモークツリーのお花が咲かない理由【原因はスモークツリーの〇〇によるものだった!?】を書いてきました。
この記事で解説した『スモークツリーのお花が咲かない理由』を理解してもらうと、大切なスモークツリーのお花を咲かせることが出来るようになり、ご家庭を明るく彩るのにきっと役立ちます。
もう1度確認しましょう。
【スモークツリーってどんな植物?】
1、生命力が強く、枝葉を旺盛に伸ばして成長する
2、カラーリーフとしても活躍する人気の花木で、さまざまな葉色の品種が出回っている
3、本来の花は枝先につける3~5mm程度の小さな花
【スモークツリーのお花が咲かない原因】
1、剪定時期を間違えて、花芽を切り落としてしまった
2、根腐れが発生して生育不良になった
3、フワフワにならない雄株を育てていた
【スモークツリーのお花を咲かせる方法】
1、根切りを行い、花芽を形成させるように促す
2、リン酸分の多い肥料を与え、花芽の成長を促す
以上がスモークツリーのお花が咲かない理由とお花を咲かせるための方法になります。
基本的に注意することは剪定時期です。
基本的にスモークツリーの花芽は11月〜2月ごろ、前年に伸びた枝の先端に付きます。これを知らずに大きくなったスモークツリーを花芽がついた後に剪定しまう結果となり、お花が咲かなくなってしまうことになります。
このような結果を防ぐためにも、お花が咲いていない枝でも、最低でも8月までに剪定をしましょう。
スモークツリーのお花は昨年から残っている古い枝で咲きます。新しく生えてきた枝からはお花が付かないので注意してください。切りすぎなければ翌年にまた花を咲かせてくれます。
ひとたびスモークツリーのお花が咲かない理由やお花を咲かせる方法を覚えてしまえば、翌年もスモークツリーが立派にお花を咲かせる姿を見ることができますし、他の植物にも活かすことができます。
スモークツリーのお花を咲かせることはガーデニングに携わっていく上で、植物を今以上に輝かせることができる大事な技術なので、がんばって身につけましょう。